刻まれた年輪
某ジュエリーの広告のクリスティー・ターリントンです。
僕がアシスタント時代はモードが全盛期でした。モデルたちはスーパーモデルと呼ばれ、広告から世界中のコレクションのランウェイを華やかに飾っていました。クリスティーを始め、クラウディア・シファー、ヘレナ・クリステンセン、シンディー・クロフォード、ナオミ・キャンベル、リンダ・エヴァンジェリスタ、などなど。この後の世代にはケイト・モスが出現しました。余談ですが、全盛期のリンダ・エヴァンジェリスタの有名なエピソード(リップサービス?)に『1万ドル以下の仕事ならベッドから出ないわ』という名言がありますが、本気かどうかはさておき、その時代を鮮明に表す言葉であることは間違いありません。
さて今回のこの広告は何シーズン目なのかは分かりませんが、最初に見たときに??となったのを覚えています。美容師目線とでも言いましょうか、こういうものを目にした時はまず全体のバランスや雰囲気を瞬間的にキャッチして(目に留まるかどうかということ)それからディテールみ目を見張るのですが、どうやらこの写真ではおでこやほううれい線が薄っすらと浮かんでいるようです。
最近の写真、特にファッション・ビューティーにおいてはレタッチ(リタッチ)と呼ばれるデジタル修正が当たり前のように施されているのですが、まったく分からないように、若しくはあからさまな程手が加わっている場合もあります。今回のコレに関して僕の私心として一時代を築いたモデルを敢えて起用することに際して、その華やかな頃から今日までの生きざまというか足跡のようなものを敢えて残したのではないかというものです。
もちろんいくつになってもシワもなくハリのある肌を持った方もいるでしょうが、その刻まれたシワにすら魅力を感じているのだと思います。言葉は野蛮ですが若者の貴女にこれが着こなせるかしら?というアンチテーゼでもあるように。磨き続けてなお光る素敵な女性像。余裕すら感じます。
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