20代 vs 70代
ファッション四方山話をひとつ。
僕が美容師を志して上京した当時はファッション界はとても華やかで原宿ではラフォーレの勢いが凄まじく、その一方ではモード系も席巻していました。ファッション誌でいえば原宿系は『cutie』『olive』『non-no』『fruits』『zipper』、モード系では『流行通信』『high fashion』『装苑』『SPUR』そして伝説の『ZORA』、実は日本版もあった『i-D』など、どれも個性的なファッション誌が書店に所狭しと並んでいました。
当時は慢性的な金欠でしたので自分で全部買えるわけもなく、お店で買う雑誌はもちろん全部目を通し、ハイセンスでしかも高価な洋書などは嶋田洋書、六本木の紀伊国屋、パルコ下のロゴスなどで休日のモデルハントの合間に立ち読みしまくったのはいい思い出です。
僕らよりももっと上の先輩たちにはギャルソンやヨウジなどが人気だったそうです。もっとも今みたいにカラフルではなくほぼ黒一色の時代もあったそうで、僕も大枚叩いてギャルソンのブルゾンを着ていたのですが、収縮加工というシワシワ加工されたそのブルゾンをクリーニングに出したらお爺さんの店主にまぁそれは見事にツルッツルにアイロン掛けされてしまい、超どノーマルなジャンパーみたいになって帰ってきたという悲しい歴史もあります。。
そして今、20代あたりの若い世代にヨウジヤマモトが人気があるそうです。20代の後半あたりはエディ・スリマン世代というか細身の黒!といったイメージなのですが、どうやら真逆当たりのシルエットのヨウジに沸いているらしいのです。僕らよりもずっと上の世代から支持されていたブランドが一周回って人気が出たというより時代がシンクロしたというか。僕が見る限りヨウジさんの基本コンセプトはほとんど変わっていないので、トレンドが追いついたというよりシンクロという言葉が一番しっくりきます。
クラシックと呼ばれるアートには新しさも古めかしさもなく常に一定の温度で存在しています。時には時代に合っていても真逆を行っていても定番は定番に映り、時には斬新にも映ります。ヘアで言えばジーン・セバーグのショートもビル・エヴァンスのサイドパートも僕の中でのクラシックです。これからいつの時代でも錆びないヘアを作りたいと思います。
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