【みんな同じような】
そのお客様はシンガーの方でソロコンサートも開くくらいのお方です。アラカン手前の女性なのですが
『同世代の髪を眺めてみるとみーんな同じに見えない?』
と。一瞬で色々と頭を駆け巡りました。
- 年齢と共に髪がやせていきうねりが出たりボリュームが出にくくなる。
- 定期的なカラーでのダメージ。
- そのためショートやボブが多くなる。
など、いくつかの原因と傾向を説明しました。
『それは分かるんだけどね、ただみんなと同じにはなりたくないのよ。』
『個性的な髪にして!』
アーティストですしいわゆる普通のお勤めをしている方ではないのである程度の髪の自由はあります。僕個人、【個性的】というのは派手なカラーや奇抜なカットをしているのが個性的なのではないと思っています。一番大切にしているのは【その方の持つ佇まいや声のトーンや香りなどを踏まえた最適な状態を引き出す】ことを意識しています。五感全てでそのお客様のパーソナリティーを感じて髪を表現していきたいというのが僕の美容師としてのポリシーです。
空に浮かぶ雲も一見同じように見えてもじっくり見れば一つ一つ違うのですが、何気なくぱっと見上げた空に映るのはいわゆる【雲】です。言い換えればヘアもぱっと見で同じに見えてしまうこともあるのです。
纏う人が輝いているからこそ光るジュエリー
上の言葉は僕ら夫婦の婚約指輪を作ってくれたデザイナーさんの言葉です。仕上がったリングを受け取ろうと朝のカフェで待ち合わせし、小さなボックスを開くと目に飛び込んできたそのリングはとても個性的で今までに見たこともないような台座のデザインでした。
そしてその指輪を持って奥さん(当時はまだ彼女でしたが)にプロポーズしに行きました。それを薬指にはめて眺めた奥さんがとても喜んでいたのでデザイナーさんに後日改めてお礼の連絡を入れました。サイズもジャストでとにかくキラキラしていてとても似合っていましたと。するとデザイナーさんが先ほどのお言葉をかけて下さったのです。
デザイナーさん曰く、身に付けたその人が輝いていなければアクセサリーにまで目がいかないよ、その人がキラキラしているからジュエリーもキラキラ光るんだよと。なるほどなーと思いながら、髪型も全く同じだなーとも思いました。
結局僕らが作る髪型というものは誰かが纏うものであって単体でそこに存在するものではありません。仮に髪をカットしてもあまりに普通だったり似合っていなければお客様を引き立てることが出来ませんし髪型も活きてはきません。そのために僕らはそのお客様のパーソナリティーを理解しなくてはなりません。
0コメント